マイクロビーズ ハンドリング ガイド
ポリサイエンス社マイクロビーズ製品は多種類ラインナップ化されています。
このページではお客様からのよくあるご質問等をとりだし、ハンドリングガイドとして製品の一般的な知識をまとめました。御不明な点がありましたら何なりとお声をお掛けください。
製品概要
マイクロスフェアは検査キットや、アフィニティー・磁性ビーズ等のバイオセパレーション、フローサイトメトリーなど 分析機器用の校正、標準スタンダードといった目的に用いられる、非常に便利且つ柔軟性のあるシステムです。 現在では様々なマイクロスフェア製品が購入できますが、使用目的のアプリケーションにとって必要なビーズの機能を見究めて 選択することが重要です。物理的、光学的特性は、扱いやすさや検出方法の面から考慮しなくてはなりませんし、粒径、 粒度分布、組成、粒子表面の化学的性質やその他の特性についても、要求される条件を考慮しなければなりません。
特 性 | 留意事項 |
---|---|
粒子の大きさ | 平均粒径、各粒径の均一性 / 粒度分布 |
粒子の組成 | 密度、屈折率、疎水性 / 親水性、非特異的結合(吸着)、自家蛍光 |
粒子表面の化学的性質 | 反応基、機能付けの内容、電荷 |
その他特記事項 | 可視色素 / 蛍光色素、(超)磁性 |
粒子の大きさ
マイクロスフェアの粒径の選択は、アッセイを適切にするために非常に重要であるといえます。 一般化している伝統的な診断法では、各試験法または分析法に適した粒子径が指定されます。ラテラルフロー検査では十分なウィッキングを確実にするため、非常に小さい粒子 ( 0.1-0.4 mm)が用い られ、ビーズベースのフローサイトメトリーではより大きな、細胞程の大きさ( 4-10 mm) の粒子が用いられます。
磁気分離では、捕獲と溶出に優れた性能が求められる一方、粒径は重要ではなく、 通常は特定ターゲット分離能を備えた、ある程度粒径に幅がある粒子として供給されています。
表面積は粒径によって決定されます。小粒径では単位重量当りの表面積がより大きく、大粒径では球1つ当りの表面積が より大きくなります。粒径は取扱い易さ、実験工程(例えば遠心分離、透析、濾過に大別される分離方法)やコーティングに 必要な試薬量等に影響を及ぼします。
カタログに記載されている全ての粒径は公称です。粒子の平均径は多くの製品において製品ラベル上に標準偏差値と
一緒に記載されています。
粒子の構成成分
通常マイクロスフェアはポリスチレン(PS)やシ リカを構成成分としています。 これらの物質には異なる物理的光学的特性があり、アプリ ケーションによって長所短所があります。
ポリマービーズは通常疎水性であり、高いタンパク結合能力があります。ただし多くの製品では、取扱い易くするために 界面活性剤(例:0.01-0.1% 濃度 Tween 20® または SDS)が添加されています。合成時に構成モノマーをスチレン、 アクリル酸やメタクリル酸メチルと共重合させ、反応性に富む表面官能基を有するビーズが作製されることもあります。 官能基は共有結合反応や懸濁液の(単分散)安定化補助のために付加されます。
シリカマイクロスフェアは親水性で負に帯電しています。従って、シリカ懸濁水は界面活性剤やその他安定剤を ほとんど必要としません。カルボキシ基やアミノ基で修飾されたシリカ粒子は(タンパク等との)通常共有結合による 表面修飾用として販売されており、(粒子表面が修飾されていない)プレインタイプのシリカマイクロスフェアは様々な シラン誘導体による官能基付加や粒子表面変化等の修飾が可能です。
構成成分 | 屈折率(589 nm) | 密度(g/cm3) |
---|---|---|
PS | 1.59 | 1.05 |
Silica | 1.43-1.46 | 2.0 |
特性
ライフサイエンスの多くのアプリケーションでは、蛍光、発色や磁性分離用の酸化鉄介在物といった特性を加える必要があります。ポリマー粒子(およびポリマー磁性粒子)は、しばしば有機溶媒での膨潤により内部まで染色され、多数の標準品として市販されています。
マルチプレックスフローサイトメトリー解析用の QuantumPlex™や、イメージングアプリケーションと関連する機器の QCをサポートする Dragon Green或いは Flash Red発光強度スタンダードなど、特別なニーズに合わせて着色濃度を調整して異なる発光強度のビーズを製造できます。多くの表面標識または内部標識蛍光ビーズも、特殊なフローサイトメトリー用標準品として市販されています。
異なるマトリックス、マグネタイト含有量、表面修飾官能基などを持った、様々な種類の超常磁性粒子が市販されています。新しいアッセイやアプリケーションの場合、アプリケーションの要求を考慮して磁性ビーズを評価する必要があります。
粒子懸濁液
単位体積(mL)当りの粒子数は、濃度(w/v)、粒径、粒子成分の密度によって異なります。
1 ml 当たりの粒子数は次の式で求められます。
x = 粒子濃度(g/ml)
ρs = 粒子密度(g/cm3)
z = 粒子径(µm)
ρL = 粒子懸濁液の密度(g/ml)
ρL = 100ρs / [100×(1-ρs)+(100ρs)]
以下の表は、ポリスチレン ( ρ = 1.05 g/ml ) 2.5 % (w/v) 懸濁液とシリカ ( ρ = 2.0 g/ml ) 10 % ( w/v ) 懸濁液の各粒径における粒子数を示しています。
粒径(μm) | ポリスチレン2.5% 懸濁液(particles/ml) | シリカ10% 懸濁液(particles/ml) |
---|---|---|
0.05 | 3.64 x 1014 | N/A |
0.10 | 4.55 x 1013 | 9.74 x 1013 |
0.20 | 5.68 x 1012 | 1.22 x 1012 |
0.35 | 1.06 x 1012 | 2.27 x 1012 |
0.50 | 3.64 x 1011 | 7.8 x 1011 |
0.75 | 1.08 x 1011 | 2.31 x 1011 |
1.00 | 4.55 x 1010 | 9.74 x 1010 |
1.50 | 1.35 x 1010 | 2.89 x 1010 |
2.00 | 5.68 x 109 | 1.22 x 1010 |
3.00 | 1.68 x 109 | 3.61 x 109 |
4.50 | 4.99 x 108 | 1.07 x 109 |
6.00 | 2.10 x 108 | 4.5 x 108 |
10.0 | 4.55 x 107 | N/A |
15.0 | 1.35 x 107 | N/A |
20.0 | 5.68 x 106 | N/A |
25.0 | 2.91 x 106 | N/A |
45.0 | 4.99 x 105 | N/A |
75.0 | 1.08 x 105 | N/A |
90.0 | 6.24 x 104 | N/A |
表面積と体積
- 表面積=4pr2
体積=4pr3/3 - 実際のところ、ポリスチレンビーズの表面積の算定は、そのポリマー独自の形態により算定が困難です。 これらのビーズは多数の単一鎖高分子が架橋して毛糸玉状になり形成されます。従って、表面積は単純式で予測されるよりも はるかに大きいと考えられます。これはタンパク結合アプリケーションや電荷測定に際して考慮すべきです。
遠心分離
粒子の洗浄は遠心分離で行われることが多いですが、注意が必要です。過剰な遠心力を加えるとペレットの再分散が困難になる場合があります。沈殿物を形成する際には、粒子の沈降速度を理解することが重要です。また、磁性粒子への遠心操作は推奨されていません。球体粒子の沈降速度はストークスの定理によって算出されます。
V = 速度(cm/ sec)
G = 重力加速度(cm/sec 2)
ρ1 = 粒子密度(g/cm3)
ρ2 = 懸濁溶媒の密度(g/cm3)
n = 粘性率 (poise; g/cm-sec)
a = 球体の半径 (cm)
1G、20℃ の水中でのポリスチレン球体の沈降速度を算出する時、d = 直径(μm)(ρ1 = 1.05 g/cm3, ρ2 = 1.00 g/cm3 n = 1.002 cp)とすると、ストークスの式は次式の様になります;
V=2.77 x 10-6d2 。
適切な遠心時間を算出するためには、沈降速度に遠心分離で発生する G を
掛けます。そして求められた速度を遠心管の長さと比較します。
例:
10,000 G の遠心速度が発生する微量遠心機中に置かれた粒径 1.0 μm のポリスチレン粒子 は 2.77 x 10-2 cm/sec.
の速度で沈殿します。
粒径の種類 | 粒径範囲 | 遠心力(xg) | 回転速度(rpm) |
---|---|---|---|
ポリマー | > 0.5μm | 6500 - 14000 | 8925 - 13100 |
> 1.0μm | 3000 - 5500 | 6060 - 8210 | |
> 5.0μm | 1300 - 3000 | 3990 - 6060 | |
シリカ | > 0.5μm | 3000 - 5500 | 6060 - 8210 |
> 1.0μm | 1300 - 3000 | 3990 - 6060 | |
> 5.0μm | 750 - 1300 | 3030 - 3990 | |
タンパク質/抗体コーティング | > 0.5μm | 8000 - 11000 | 9900 - 11610 |
> 1.0μm | 5500 - 8000 | 8210 - 9900 | |
> 5.0μm | 2000 - 5500 | 4950 - 8210 |
4 cm 高の遠心チューブ中に存在する粒子を沈殿させるためには144 秒(最短)必要です。実際には、上清と分離できるペレットを形成するため更に50 % 程長く遠心時間を設定する必要が あります。これらの計算は遠心時間設定の指針とするために行われます。異なる粒径では沈降速度も劇的に変化します。粒径 10 μm のポリスチレン粒子は、前述の条件下では 2 秒で 沈殿しますが、0.01 μm のポリスチレン粒子は最短でも 4 時間掛かります。ブラウン運動 と粒子濃度も沈降速度に影響します。
取扱いと保存方法
ポリサイエンス社のマイクロスフェア製品は液系で製造されるため、懸濁液として保存可能です。脱イオン水は不可逆的な 凝集を引き起こす高濃度イオンを含まないため、非コート粒子保存には、脱イオン水が最適です。コート粒子については周辺 溶媒分子に接する反応基に適したバッファー中での保存が推奨されます。長期保存は微生物の増殖を避けるために4-8 ℃で行い、 懸濁液は凍結させてはいけません。有色色素染色ビーズや蛍光ビーズは遮光保存が推奨されます。長期保存する場合、バイオ サイド添加も効果的です。
洗浄操作
分析機器用標準物質として販売されているマイクロスフェアは、通常はそのままの状態、もしくは適合性のあるバッファーや
水溶液で希釈して用いられます。その一方でタンパク等でコートされた、または反応基で修飾されたマイクロスフェアは、添加物
や残渣が存在したままでは結合反応やその他の実験操作に支障をきたす可能性があるため、除去・洗浄操作が推奨されます。
遠心分離、(限外)濾過や透析は非磁性ビーズ用に通常行われる洗浄・分離方法です。各粒子に最適な洗浄方法は、粒径、
必要とされる処理量と各マイクロスフェアの特徴によって決まります。遠心分離は粒径
0.5 μm 以上の粒子の小スケール分離用として頻繁に行われ、
粒径 0.5 μm 未満の粒子に透析粒径が、 0.5 μm より
大幅に小さい粒子用または高速処理用に(限外)濾過が行われます。超磁性微粒子はレアアース金属や電磁石で分離されます。
凝集
ポリサイエンス社のマイクロスフェア製品では、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)やシリカの様に様々な構成成分由来の製品が入手可能です。ポリマー粒子はその疎水性により凝集し易いですが、他にも懸濁液の分散性 に影響を与える因子があります。例えば、表面電荷が低い、小粒径(表面積:体積の比率が高い)、粒子の懸濁濃度が高い、またはバッファーの組成や pH が最適でない等が挙げられます。 これらの状態を相殺して凝集を防ぐ効果的な戦略として、疎水性を弱める界面活性剤(例:0.01 - 0.1 % Tween®20 または SDS)、凝集状態を崩す超音波処理、または各粒子同士の接触を避けるためのマイクロスフェア濃度やバッファー pH の調整が挙げられます。
ポリスチレンマイクロスフェア
パラメータ | 詳細 |
---|---|
サイズ | 粒径 0.05 - 150 μm、様々な用途 |
単分散性 | 粒径 0.05 - 90 μm でのCV 値は 10% 以下 |
濃 度 | 2.5 % |
懸濁媒体 | 微量界面活性剤を含む脱イオン水で分散状態を保つ |
色 素 | 非染色、赤、黄、黒、青、紫、橙、緑と蛍光色素 |
表面官能基 | 無し、-COOH、-NH2、-OH、アクリル化 CH2Cl |
安定性 | 反応性低い。扱い易く生物学研究にも最適 |
タンパク親和性 | 官能基修飾された粒子との共有結合または可逆的吸着 |
ガラス転移点 | 94℃、穏やかな加熱温度には安定。
DVBでクロスリンクされている粒径の粒子もあり |
ビーズ密度 | 1.05 g / cm3、細胞の密度に近い |
屈折率(589 nm) | 1.59-1.60、機器分析での用途に最適 |
バイオサイド | 記述がない限り無添加。アジ化ナトリウム、チメロサール等を含む場合もあり |
ポリスチレンマイクロスフェアの安定性
ほとんどのポリサイエンス社製マイクロスフェア製品は保存可能期間を一年間としています。バイオサイドは特に記述がない 限り添加されておらず、微量の界面活性剤を含む脱イオン水に懸濁された状態で出荷されます。微生物増殖を抑えるため 全ポリスチレン粒子製品は4 ℃ 保存が推奨されます。不可逆的な凝集を避けるため、マイクロスフェア懸濁液の凍結は絶対に しないでください。長期間保存をする場合、バイオサイド添加が推奨されます。
ポリスチレンマイクロスフェアの単分散性
以下の表では、ポリサイエンス社ポリスチレン粒子製品の均一性をCV 値で表しています。 各生産ロットの実際の粒径(D)と標準偏差(SD)はラベルに表記されています。CV 値(%)はSD/D x 100 で算出されます。
粒子径(μm) | 最大CV(%) | 粒子径(μm) | 最大CV(%) | 粒子径(μm) | 最大CV(%) |
---|---|---|---|---|---|
0.05 | ≤15 | 0.75 | ≤3 | 4.50 | ≤7 |
0.10 | ≤15 | 1.00 | ≤3 | 6.00 | ≤10 |
0.20 | ≤8 | 1.50 | ≤5 | 10.00 | ≤10 |
0.35 | ≤5 | 2.00 | ≤5 | 15.00-90.00 | ≤15 |
0.50 | ≤3 | 3.00 | ≤5 |
ポリスチレンマイクロスフェアの無菌性と保存可能期間性
ほとんどのポリサイエンス社マイクロスフェア製品は未滅菌の懸濁液として包装されており、お届け時にバイオサイドまたは 保存剤の添加することも可能である旨を御客様にお知らせしています。ポリスチレン粒子は販売日以降一年間は安定です。 ポリスチレン粒子本体、粒子表面の官能基、内含色素の分解は、通常の保存状態では起こらないと考えられますが、脱イオン水の 品質には注意が必要です。ポリサイエンス社では水、パッケージング工程管理に努めた結果、保存期間を一年に設定できました。 無菌状態の製品が必要な場合は、ガンマ線照射を行う必要があります。チメロサールやアジ化ナトリウム等のバイオサイド添加は全製品に共通して推奨しています。in vivo での実験や生細胞実験等の研究用途に用いる場合は、添加前にアルコールに懸濁して滅菌することも可能です。 テクニカルデータシート #670
ポリスチレンマイクロスフェアを含む生体組織の包埋
ポリスチレンマイクロスフェアは非包埋カバースリップ単層、新鮮凍結切片、固定凍結切片、パラフィン切片、メタクリル酸グリコールキットで包埋した 標本の切片を光学顕微鏡下で可視化出来ます。パラフィン切片をクリーニングと脱パラフィン処理する場合、トルエン、THF や酢酸エチルの様な典型的な有機溶媒ではビーズを破壊してしまうため、n-ブチルアルコールが用いられます。 メタクリル酸メチルやメタクリル酸ブチルからなる包埋剤にはポリスチレンビーズは包埋できません。 Epon や Spurrs での TEM 用包埋合成は可能です。
Polybead® と Fluoresbrite®
色素
Fluoresbrite® 、Polybead®と
Flow Check®などの数製品は水難溶性の色素で染色されています。
これにより粒子から水性バッファーへの色素漏出が最小限に抑えられます。
(非蛍光)色素染色マイクロスフェアは黒、青、赤、紫、橙、緑、黄の7 種類が入手可能です。
他の色とその明度につきましてはお客様のご要望に応じてカスタム染色を検討いたします。
Bangs ブランドのフローサイトメトリースタンダードの多くの製品は、蛍光色素標識した抗体による粒子表面の
コーティング染色です。ポリサイエンス社ではお客様ご要望の色素による
Fluoresbrite®の
カスタム合成も
実施しております。ポリサイエンス社の多くの色素は次の通りのフィルターセッティングに適合しています。
Fluorescent Particles | Filter Setting | Dyed Particle | Excitation Max.(nm) | Emission Max.(nm) |
---|---|---|---|---|
Fluorescent Particles | Coumarin | BB | 360 | 407 |
BB (Bright Blue) | Fluorescein | YG | 441 | 486 |
YG (Yellow Green) | Rhodamine | YO | 529 | 546 |
YO (Yellow Orange)* | Phycoerythrin | PC | 491; 512 | 554 |
Ruby Red | 475; 600 | 663 |
色素染色マイクロスフェアと顕微鏡観察
粒径 6 μm の非蛍光色素染色粒子は光学顕微鏡で (x400 倍率条件下で)観察できる 最小粒径の有色粒子です。染色粒子を際限なく拡大しても非染色状態にしか見えなくなります。蛍光色素で標識された Fluoresbrite® マイクロスフェアは粒径 6 μm 未満の粒子の顕微鏡観察に適しています。 粒径 0.05 μm のFluoresbrite® 粒子は対物レンズ 100 倍、接眼レンズ 10倍条件下でも識別できます。
貪食作用・逆行輸送の研究と Fluoresbrite®
Fluoresbrite® のよう様な粒径が均一な ポリスチレン粒子は細胞の相互作用の研究に適しています。マイクロスフェアは強力な蛍光によって簡単に同定でき、 ポリスチレンは細胞接着にも生物学的にアクティブな表面として長時間認識可能です。 2つの異なる蛍光粒子を用いて研究される方は 2集団を 1実験系で追跡できます。
フローサイトメトリー用 Fluoresbrite®
ポリサイエンス社のFluoresbrite®は
フローサイトメトリーにおける標準粒子という用途でも長い歴史があります。
ベースとなる粒子の製造会社としても、蛍光色素内含法のイノベイターとしても、同社は解析ハードのメーカー側にも
フローサイトメーターのスタンダード用として適切なビーズについて助言してきました。
ポリサイエンス社は Bangs Laboratories 社のフローサイトメトリー用標準粒子の幅広いラインナップ
を取り揃えております。
Polybead® と Fluoresbrite®
BioMag® の物理的性質
従来品のBioMag® は不規則な形状を有する、大きさ 1-2 μm の酸化鉄粒子です。 BioMag®Plus は従来品とほぼ同じ特徴を有しますが、はずれ値(の大きさ)の粒子を取り除く処理がされているという点が異なります。 BioMag® Maxi は最大約 6 μm の大きさの粒子から成ります。 表面修飾型の粒子はタンパク質や抗体が結合する反応基を表面に有しています。不規則形状なので表面積が広く、吸着効率も高まります。BioMag® 粒子表面積: >100 m2/g
BioMag® 粒子密度: >>2.5 g/cc
BioMag® 沈降速度: 4% in 30 minutes
BioMag® の安定性
BioMag® のベースとなっている粒子はコートされた酸化鉄であり、 粒子そのものは非常に安定性があります。しかし BioMag® 粒子に 結合しているタンパクや抗体は時間経過に伴い分解する可能性があります。BioMag® を 凍結したり、高熱環境に置くことは避けてください。BioMag® の溶媒中の安定性
BioMag® は
pH 5.0-8.0 の様々なカップリングバッファー中で用いることができます。
有機溶媒や極端な pH で用いる場合、予め安定性を試験しておく必要があります。
BioMag® の磁気応答性
BioMag® は超常磁性粒子です。言い換えると、磁気の残留がないため、磁力を解除すると直ちに懸濁することができます。 粒子の90 % 以上が磁鉄鉱であり、25 - 35 emu/g(電磁気の単位)の磁化力を有します。
BioMag® による正の選択と負の選択
BioMag® は
正の選択や負の選択に用いることができます。負の選択では、BioMag®に必要のない化合物が結合されて、溶液から取り出されます。磁気分離後、上清は標的細胞や分子のみを含むことになります。正の選択では BioMag® は目的・対象となる標的細胞や分子
のみを溶液から取り出します。全ての必要のない細胞集団、細胞や分子は上清から取り除かれ、標的対象物のみが単離精製された懸濁液を得ることが出来ます。
BioMag® 用磁性分離器
BioMag® の様な超常磁性微粒子の効果的な分離には強い磁場が必要になります。
ポリサイエンス社の磁性分離器には、レアアース(ネオジム‐鉄‐ホウ素)配合、27-35 メガガウスエルステッドの範囲の磁気強度がある磁石がプラスチック製の筐体に埋め込まれており、
超磁性微粒子の分離に最適な性能を発揮します。
タンパク質とのカップリング反応効率の決定
カップリング効率は、反応前後の上清の吸光度変化を測定することで決定できます。
1.分光光度計の測定波長を 280 nm に設定する
カップリングバッファーでブランク測定を行う
2.カップリング反応前の溶液を測定する
添加タンパク量に応じて溶液の希釈を行い、希釈液を測定する(D = 希釈倍率)
3.カップリング反応後の溶液を測定する
希釈が必要な場合は順次行い、希釈液を測定する(D = 希釈倍率)
4.カップリング効率を算出する
次式の通りタンパク取り込み効率が % で示される
通常のタンパク取り込み効率は 60% 以上になる
[(A280 カップリング反応前溶液 x D) - (A280 カップリング反応後溶液 x D)] x 100
(A280 カップリング反応前溶液 x D)
マイクロスフェアのコーティング
マイクロスフェアは診断・分離用に抗体、オリゴヌクレオチド、ペプチドの様な捕捉分子によるコーティングが可能です。
通常、マイクロスフェアのコーティング技術は、反応特異性を高め非特異的相互作用を最小にする様に最適化されています。
求められる安定性、開発期間、予算およびコートする生体分子そのものについても考慮しなければなりません。
短期・長期両方の目標に適したコーティング戦略を決定する際に手助けとなることでしょう。
通常のマイクロスフェア製品には
可逆的(パッシブ型)吸着、
共有結合とアフィニティー結合
という3つの基本的なコーティング戦略が組まれます。重要なのは、それぞれの結合方法には長所と短所があり、
研究目的や、作製したコート粒子に課せられる要求に着目して選択する必要があるということです。
可逆的(パッシブ型)吸着
可逆的(パッシブ型)吸着は 主に生体分子とポリマー粒子との疎水性相互作用に基いた吸着作用です。このようなコーティングは、 要するにマイクロスフィアと精製リガンドを一緒にインキュベートするというかなり単純な作業です。 通常は最適化がほとんど必要なく、コート粒子も比較的早く開発されます。ただし、吸着は分子と粒子との複数の 吸着部位に負っており、この方法の典型的な用途はタンパク質と非機能性ポリマー粒子との結合です。 吸着は低分子ホルモン、ペプチドもしくはハイブリダイゼーション用の核酸には不向きであり、また、シリカへの タンパク質の吸着はポリマーと比べて低効率です。 可逆的(パッシブ型)吸着を用いたほとんどの技術では、 ビーズの安定性が4-6 箇月であると報告されています。より長期の安定性にはコートビーズを凍結乾燥した方が良いと 考えられます。
共有結合によるカップリング
共有結合により標的分子を
官能基(カルボキシ基またはアミノ基)修飾されたマイクロスフェアに半永久的に結合させます。市場流通製品の開発やマルチプレックスアッセイの様な複数種類の解析対象特異的ビーズ群が混合される場合において、ビーズの安定化のために用いられます。更に立体的効果や分子の向きの適正化を目的としたケミカルリンカーも利用可能です。また、アッセイ系に界面活性剤を添加する場合、界面活性剤は粒子表面に吸着しているタンパクを解離させるため、共有結合によるカップリングが推奨されます。オリゴヌクレオチドやペプチドの様な末端部位での接合が求められる場合でも、共有結合によるカップリングは重要です。
共有結合によるカップリングは他のアプローチよりも高いレベルの最適化が要求されますが、
カップリングキット
によってその工程を単純化できます。>
粒径 0.5 μm 未満の粒子のカップリング
カップリングプロトコールの化学的側面は全ての粒径の粒子で共通していますが、 粒子の単離方法は粒径から 判断しなければいけません。ほとんどのプロトコールでは、遠心分離が懸濁液からの粒子分離方法とされています。 粒径 0.5 μm 未満の粒子では、遠心分離操作で 30 分以内にスピンダウンすることは ほとんど不可能なため現実的ではありません。極端に高い Gはペレットの再懸濁を困難にするため推奨できません。 他の分離方法として透析、加圧式膜濾過、限外濾過が挙げられます。
染色粒子のカップリング
非染色マイクロスフェアと同じく、染色ビーズでもタンパク吸着や表面修飾基を介した共有結合が可能です。 ポリサイエンス社は正確な粒径設定や色素添加量についての知見を持ち、診断検査市場に製品を供給する卓越した ワールドリーダーとしての地位を高めてきました。
アフィニティー結合
アフィニティー結合は、抗体やビオチン標識された分子を固定する単純な方法です。 プロテインA や プロテイン G または Fc 領域特異的な抗体での コーティングによりマイクロビーズによる一次抗体の捕捉が可能になり、 同様にストレプトアビジンの コーティングによりビオチン化された抗体、ペプチドやオリゴヌクレオチド等の分子が捕捉可能になります。
生体分子 | コーティング方法 | 備 考 |
---|---|---|
ペプチド | 共有結合 ストレプトアビジン / ビオチン |
末端結合によりペプチドの活性を維持 |
核 酸 | 共有結合 ストレプトアビジン / ビオチン |
末端結合によりプローブ配列と標的配列のハイブリダイゼーションが可能となる |
タンパク(例:抗体) | 共有結合吸着 | 一般的なタンパクは概して十分大きいため、複数ポイントでの結合や特定の 方向付けがなされていないことはタンパクの活性に影響しない。しかし、リンカーやスペーサー (共有結合またはストレプトアビジン / ビオチン)によって立体効果やより好ましい分子の設置方向を決めることは可能 |
ブロッキング試薬としての BSA の代替物
非侵襲性のタンパク質であれば何でも非特異的吸着を抑えるために用いることができるといえます。ただし、BSAの代替物を選択する際には、活性のあるタンパクとブロッキング用タンパクとの大きさを比較する方が良いとされています。BSA は IgG のカップリング時に推奨されます。しかし、大きな BSA 分子が小さなタンパクの活性を妨げる可能性もあるため、グリシンや小分子量のポリペプチドが代替物として利用可能です。
タンパク質結合プロトコール
非侵襲性のタンパク質であれば何でも非特異的吸着を抑えるために用いることができるといえます。ただし、BSAの代替物を選択する際には、活性のあるタンパクとブロッキング用タンパクとの大きさを比較する方が良いとされています。BSA は IgG のカップリング時に推奨されます。しかし、大きな BSA 分子が小さなタンパクの活性を妨げる可能性もあるため、グリシンや小分子量のポリペプチドが代替物として利用可能です。
ビーズ吸着法TDS #238E | カルボジイミドによるカップリングTDS #238C & #644 | グルタルアルデヒドによるカップリングTDS #238D îG |
---|---|---|
非修飾ポリスチレンビーズ | カルボン酸修飾ビーズ | アミノ基修飾または青色染色ビーズ |
■ 0.1 M ホウ酸バッファーpH 8.5 にビーズを懸濁する ■ 遠心⇒再懸濁を2、3 回繰り返す ■ リン酸バッファーに懸濁する ■ 目的タンパクを加え、O/Nよく混合する ■ 遠心し、上清(タンパク確認用)・沈殿共に回収する ■ 沈殿を BSAを含む適切なバッファーに懸濁し遠心を2 回行い沈殿を回収する ■ BSA やグリセロールが添加された pH 7.4 の PBS に再懸濁する ■ タンパクが粒子表面に結合 |
■ 0.1 M 炭酸バッファーにビーズを懸濁する ■ 遠心⇒再懸濁を2、3 回繰り返す ■ リン酸バッファーに懸濁する ■ 新しく調製したカルボジイミド溶液を滴下し、15-30 分間インキュベートする ■ 余分なカルボジイミドを除去し、ホウ酸バッファーに懸濁する ■ タンパクを加え、2-4 時間よく混合する ■ エタノールアミンを加え、30 分混合する ■ 遠心し、上清(タンパク確認用)・沈殿共に回収する ■ BSA を含むバッファーに懸濁し遠心を2 回繰り返す ■ BSA やグリセロールが添加された pH 7.4 の PBSに再懸濁する ■ 2-3 個の炭素原子を介してタンパクが結合 |
■ pH 7.4 の 0.02 M TBS にビーズを懸濁する ■ 遠心⇒再懸濁を2、3 回繰り返す ■ リン酸バッファーに懸濁する ■ pH 7.4 のPBS で調製した8% グルタルアルデヒドに懸濁し、4-6 時間混合する ■ 余分なグルタルアルデヒドを除去し、PBS バッファーに懸濁する ■ タンパクを加え、2-4 時間よく混合する ■ エタノールアミンを加え30 分混合する ■ 遠心し、上清(タンパク確認用)・沈殿共に回収する ■ BSA を含むバッファーに懸濁し遠心を2 回繰り返す ■ BSA やグリセロールが添加された pH 7.4 の PBS に再懸濁する ■ 青色染色ビーズでは5 個の炭素原子を介してアミノビーズでは11-12 個の炭素原子を介してタンパクが結合 |
タンパク質カップリングのトラブルシューティング
非侵襲性のタンパク質であれば何でも非特異的吸着を抑えるために用いることができるといえます。ただし、BSAの代替物を選択する際には、活性のあるタンパクとブロッキング用タンパクとの大きさを比較する方が良いとされています。BSA は IgG のカップリング時に推奨されます。しかし、大きな BSA 分子が小さなタンパクの活性を妨げる可能性もあるため、グリシンや小分子量のポリペプチドが代替物として利用可能です。
問題 | 解決法 |
---|---|
実験操作前の凝集 | 超音波照射を行う(過度の照射は粒子の破砕が起こる可能性があります) |
実験操作後の凝集 ■ カルボジイミド添加で凝集した ■ グルタルアルデヒド添加で凝集した ■ タンパク添加で凝集した ■ 洗浄操作で凝集した |
どの段階で凝集したかを検証する必要があります。 ビーズ添加をゆっくり行う。ボルテックス等でビーズを激しく撹拌する。ビーズ添加濃度を減らす。 ビーズ添加をゆっくり行う。ボルテックス等でビーズを激しく撹拌する。ビーズ添加濃度を減らす。過剰量のグルタルアルデヒド添加によって粒子同士の化学結合を防ぐ。 凝集はタンパクのカップリング段階で多くは解消されます。 タンパク添加量を増やす。 界面活性剤を添加する。洗浄回数を減らす。 |
結合効率が低い | カップリング反応液の pH を目的タンパクの等電点近傍にする |
コーティングの再現性がない | 混入物のない精製水を用いる;新しい試薬を用いる |
コーティング反応が起こらない | 反応液の pH が目的タンパクの等電点から離れている場合、pH を調整する |
遠心分離がうまくいかない | 小粒径の場合、メンブレンフィルター、透析、限外濾過を行う |
非特異的吸着が起こる | BSA の代替物に変える(グリシン、カゼイン等) |
小さいタンパクが結合しているが活性がない | ビーズ表面から離れた位置でカップリングさせるクリスリンク試薬を用いる |
長期間保存によってタンパクが溶出する | 共有結合反応によるカップリングに変えるか凍結乾燥を行う |
ポリサイエンスマイクロスフェア製品の特徴
マイクロスフェアには様々な生命科学実験上の用途があり、それぞれ蛍光や可視色、磁性分離用の酸化鉄内含と
いった付加的な特性が要求されます。通常、ポリマー粒子(及びポリマーベースの磁性粒子)は有機溶媒中での膨潤過程を
経て内部染色されます。また、多種多様な標準粒子製品が販売されています。色素濃度調整も可能であり、異なるシグナル
強度を持つビーズ製品が販売されています。マルチプレックスなフローサイトメトリー解析用の
QuantumPlex
TM、イメージング用途や関連機器QC を補助する
Dragon Green や Flash Red Intensity Standard の様に様々な用途にもお応えする製品を販売しています。多種多様な表面標識 / 内部標識された蛍光ビーズもフローサイトメトリー用スタンダードとしてラインナップ化されています。
超常磁性微粒子も異なる構成マトリクス、磁性体量、表面修飾グループ等様々な形で入手可能です。新しいアッセイや
用途を行う際には、要求される能力で磁性ビーズを評価・選択する必要があります。
次の表では一般的なマイクロスフェアの用途に応じてポリサイエンス製品をご紹介します。
これらはあくまで指針に過ぎません。より詳細な文献検索や実験の吟味がさらに必要であることは言うまでもありません。
一般的な試験・分析フォーマット用のマイクロスフェアセレクション
試験/分析フォーマット | 粒 径 | 粒子タイプ | コーティング方法 | 検出方法 |
---|---|---|---|---|
比濁法(自動化 LAT) | 50 nm - 500 nm | 非染色 | 共有結合 | 比濁法 |
磁性ケミルミネッセンス | 1 - 5 μm | ProMag® HP | 共有結合 | ルミネッセンス |
フローサイトメトリー (サスペンジョンアレイ) |
2-15 μm |
QuantumPlex
TM QuantumPlexTMM (encoded populations for multiplexing) Non-fluorescent (simplex or multiplex with different bead sizes) |
共有結合 ストレプトアビジン / ビオチン |
フローサイトメーター | ラテラルフロー検査 | 0.1-0.4 μm | 染色ビーズ(可視、蛍光) | 共有結合、吸着 | 可視または自動化リーダー(吸光度、蛍光)、目視 |
ラテラルフロー検査 流体中のボルダー |
0.1-0.4 μm 移動相 2-3 μm 捕獲相 |
染色(可視)ビーズ、非染色捕獲用ビーズ | 共有結合、吸着 | 目視 |
試験紙 | 0.1-0.4 μm | 染色(可視)ビーズ | 共有結合、吸着 | 目視 |
ラテックス凝集試験(LAT) | 0.2-1.0 μm | 非染色、可視染色 | 共有結合、吸着 | 目視(顕微鏡) |
マグネティックアッセイ用の推奨製品
アッセイ | 推奨製品 |
---|---|
イムノアッセイ | ProMag TM、BioMag® |
ハイブリダイゼーションベースのアッセイ | ProMagTM |
磁性分離用の推奨製品
分離対象 | 推奨製品 |
---|---|
抗体 | BioMag® Protein A , Protein G 及び BioMag®Protein G |
タンパク質 | BioMag® , ProMag® , ProMag®HP または COMPEL |
糖タンパク質 | BioMag® WGA または Con A |
細 胞 | BioMag® anti-CD marker または secondary antibody |
細胞内オルガネラ | BioMag® |
免疫沈降 | BioMag® secondary antibody |
mRNA | BioMag® Oligo dT (20) または mRNA Purification System |
ビオチン標識オリゴヌクレオチド | ProMagTM または ProMag Streptavidin |
バイオパニング | ProMagTM または BioMag® |
解析装置のクオリティコントロール
信頼性のある試験・解析結果を維持するためには、機器施設は技術員の教育、日常的な機器のメンテナンスとクオリティコントロール等
を網羅した包括的な品質保証プログラムを構築する必要があります。特に蛍光による定量的測定は、最適な標準化を行いつつ実施しな
ければなりません。
標準粒子は測定装置の、感度、精度、正確性という様な能力と限界を明確化しておく手助けとなり、装置が安定した状態で使用に
適しているかを見究める判断材料を提供します。また、標準粒子は温度、湿度や電気的ノイズの様な外的要因の影響を解読する
一助となります。毎日抽出しているQCデータと過去のQCデータを比較することにより、電気的ノイズや気泡等によるランダムエラーや
温度変化、レーザー光の劣化、アラインメントの失敗等に起因するバイアス、シフト、トレンド等のシステマチック誤差の同定へと繋がり、
適切な補正操作が可能となります。
毎日の補正
フローサイトメーターには高度の設定機能が組み込まれているため、設定次第で結果が劇的に変化します。各検出器共通の蛍光の
上下限を決めた分析窓を指定すると、標準粒子集団は解析毎に目盛表示のほぼ同じ位置に配置される筈です。この様な標準粒子による
分析装置のセットアップによって、各分析結果の一貫性が保証され、解析機器間の有意な比較が可能になります。そのためには、
フローサイトメーターの全般的な状態と安定性は定期的にチェックされるべきです。更に、プロットを繰り返し行うと、ランダム且つ
装置全体に影響するエラーが検出・蓄積される様になります。
手動でアラインメントされた装置は毎日アラインメントを行う必要があります。
もし複数の分析装置、機器施設、研究室等で比較される場合、全ての装置は毎日同じ標準粒子で補正を行うべきです。
マルチカラー解析や定量が実施される場合、適切な標準粒子による補正を解析実施当日に行わなければなりません。
フローサイトメトリーのQC
バリデーション/品質管理
機器のバリデーション/品質管理(QC)プログラムは、機器で実行される作業の種類と複雑さに依存します。Full Spectrum™やQuantum™QCなどのマルチ蛍光ビーズを使用すると、実験者は一つの製品を用いて基本機能を確認し、全てのレーザー/検出器の全般的な安定性を追跡できます。また、さまざまな検出器の感度、分解能、直線性を理解することも重要です。直線性の決定は、定量的な蛍光分析にとって特に重要です。
機器のセットアップ
フローサイトメーターは、高度な設定が可能であり、結果は、機器の設定によって劇的に異なる場合があります。蛍光の上限と下限を定義して、各検出器に共通の「分析ウィンドウ」を設定すると、リファレンス集団を同じスケールでほぼ同じ位置に配置できます。これは、Quantum™QCまたはFull Spectrum™を使用して実現できます。マルチカラー分析を行う場合、設定を調整するために補正基準が必要になる場合があります。
アプリケーション
フローサイトメーターで様々な研究が行えます。これには、定量的な表面マーカー発現解析(Quantum™MESF、Quantum™SimplyCellular®)、絶対計数(Flow Cytometry Absolute Count Standard™)、サイズ測定(Small Bead Calibration Kits、Size Calibration Standard Kits)、または様々な蛍光分析( 蛍光リファレンス スタンダード)があります。
以下のチャートは、特定の課題/目的に対する追加の推奨製品を示します。
種類 | 目 的 | メンテナンス周期 | 製 品 |
---|---|---|---|
毎日の QC | 機器の安定性/状態の一般的検査 | 毎日 | Full Spectrum™ (multi) |
Ultra Rainbow Fluorescent Particles (multi) | |||
Fluorescence Reference Standards (single) | |||
Flow Check™ Ruby Red Fluorescent Microspheres (single) | |||
Quantum™ QC (multi) | |||
毎日の QC | 機器光学系の一般的検査 | 毎日 | Full Spectrum™ (multi) |
Ultra Rainbow Fluorescent Particles (multi) | |||
Fluorescence Reference Standards (single) | |||
Flow Check™ Ruby Red Fluorescent Microspheres (single) | |||
Quantum™ QC (multi) | |||
毎日の QC | 光学アライメント | 毎日 | Right Reference Standard™ |
Flow Check™ Alignment and Compensation Particle Sets | |||
毎日の QC | 流体チェック | 毎日 | Surface-labeled fluorescent microspheres, e.g. |
Fluorescence Reference Standards, Quantum™ MESF | |||
毎週 のQC | 光学系感度、直線性分解能 | 毎週 | Quantum™ QC (multi) |
毎日の設定 | 標準化された機器セットアップ(PMTs) | 設定変更した場合に毎日又は測定間 | Quantum™ QC (multi) |
毎日の設定 | マルチカラー解析用の標準化補正設定 | 設定変更した場合に毎日又は測定間 | FITC/PE Compensation Standard |
Simply Cellular® Compensation Standard | |||
Quantum™ Simply Cellular® | |||
Viability Dye Compensation Standard | |||
Simply Cellular for Violet Laser | |||
アプリケーション | 細胞での遺伝子発現研究またはビーズベースアッセイにおける蛍光定量評価 | 蛍光PMT設定が変更された場合、定量分析または異なるアプリケーション間で毎日実行。 | Quantum™ MESF |
Quantum™ Simply Cellular® | |||
アプリケーション | 定量的蛍光分析用のF:P比の決定 | 必要に応じて、蛍光結合抗体の新しいロット毎 | Simply Cellular® (used in conjunction with Quantum™ MESF) |
アプリケーション | マルチカラー フローサイトメトリーの補正 | 蛍光PMT設定が変更された場合、毎日或いは異なるアプリケーション | FITC / PE Compensation Standard |
Simply Cellular® Compensation Standard | |||
Quantum™ Simply Cellular® | |||
Viability Dye Compensation Standard | |||
Simply Cellular® for Violet Laser | |||
Fluorescence Reference Standards (single) | |||
Flow Cytometry Antibody Binding Beads (Protein A and G) | |||
アプリケーション | 細胞数カウント | 必要に応じて | Flow Cytometry Absolute Count Standard™ |
アプリケーション | 細胞サイズ測定 | 必要に応じて | Size Calibration Standards Kit |
Submicron Bead Calibration Kit | |||
Micron Bead Calibration Kit | |||
アプリケーション | サスペンション アレイ | ビーズベース フローサイトメトリー アッセイ開発用プラットフォーム | QuantumPlex™ |
QuantumPlex™M |