透析は低分子の除去、バッファー交換、濃縮等の目的で広く使用されるアプリケーションです。ピアス社の製品ではSlide-A-Lyzerシリーズとして製品が展開されています。透析は平衡透析とも呼ばれ、半透膜を介した試料と透析バッファーとの間の熱力学的な分子の移動を利用しています。例えば1mlの試料を200mlの透析バッファーに対して透析を行い、透析膜の排除分子量(MWCO)以下の低分子が平衡に達すると、初濃度から200倍希釈されることになります。塩などの低分子では2時間程度で平衡に達し、透析バッファーを新しく交換します。200倍量での3回の透析(2hrs(RT)
+ 2hrs(RT) + O/N(4℃))の透析では、200×200×200で初濃度の1/800万に希釈されます。これはゲル濾過(95%以上保持)などの脱塩器具のスペックに比べると効率が高く、完全な脱塩が必要な場合に透析が推奨される理由の一つだと思います。透析の影響因子としては、透析バッファー量、バファー組成、時間、温度、分子サイズvsポアサイズがあります。これらの因子を変化させることで様々なアプリケーションに応用できるのも透析の特徴といえます。
DNA・RNA
排除分子量(MWCO)はタンパク質などの溶液中で球状の分子に対して設定されています。DNAやRNAなどの線状の分子に対しては適応されません。DNAやRNAなどを透析(脱塩)する場合には、DNAやRNAの分子量の1/3以下のMWCOの透析膜の使用が推奨されています。
濃縮
グリセロールや糖などの吸水性物質を含む試料を透析すると、透析バッファーから急激に水が移動し、透析に影響を与える場合があります。これは段階的に透析を行うことで防ぐことができます。逆に透析バッファーに吸水性ポリマーなどを使用すると試料から脱水が生じて濃縮が行われます。(ピアス社の製品では
#66530 Concentrating Solution が該当)また、透析カセットなどに試料を注入し、透析膜を介して水分だけを蒸発させて濃縮する方法も知られています。(この場合、塩などの低分子も濃縮されることになります。)
リアクションバイアルとして
タンパク質や抗体への標識反応や架橋反応では、加水分解による影響を考え過剰の試薬の添加が必要となることが多く、反応後に未反応の試薬や副産物の除去が必要になることもあります。反応容器で反応を行ったあと、透析を行う場合(特に試料が希薄)当然操作も増え試料の損失も増えます。透析カセットや透析ユニット内で反応を行い、そのまま透析を行うことで損失を最小限に抑えることが可能です。ただし、蛍光剤などのスタッキングが予想される試薬、ポアサイズに影響を与える試薬(DMSOやDMFはアルコールで代替)など制限もあり、反応中の蒸発による濃縮にも注意(ラッピング)する必要があります。
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