BCA法は水溶性のビシンコニン酸Na塩が銅イオンと紫紅色の錯化合物を形成する事を利用した定量法です。Coomassie法と比べ、イオン・非イオン性界面活性剤に対する共存性が高く、界面活性剤により抽出した試料の総タンパク質測定に向いていると言えます。一方、還元剤・キレート剤などを含む試料に関してはCoomassie法に比べ共存性は低くなります。
測定の原理としてはビュレット反応とFolin試薬をベースにしたLowry法の改変法で、界面活性剤・ウレア・トリスなどに対して影響を受けにくくなっています。
ビュレット反応はアルカリ性溶液中でポリペプチドとCu2+が反応すると形成される錯化合物からプロトンが解離してプロトンを失ったポリペプチドの窒素原子と結合することに由来しています。感度は低いですがタンパク質の種類に依存しません。Folinのフェノール試薬はフェノールと反応するリンモリブデン酸を使用した試薬でタンパク質のチロシン・トリプトファン・システインと反応して青色に呈色します。Lowry法はこの二つの測定法をベースにした定量法でフェノール試薬の数〜10数倍、ビュレット法の100倍の感度となります。
配位結合したペプチドの窒素原子が電子供与体となりCu2+が還元されると考えられ、還元的離脱によりCu+が離脱して、その後BCAと結合するようです。定量的な測定には経験的に2000Da以上のペプチドによる配位と還元が必要とされています。
BCA総タンパク質定量試薬
#23225 BCA Protein Assay Kit
#23229 BCA Compat-Able Protein Assay Kit
#23235 Micro BCA Protein Assay Kit
#23250 BCA Protein Assay Kit -Reducing Agent Comatible
Q1) 分解を受けたタンパク質や変性タンパク質のBCAアッセイは?
Q2)測定が難しいタンパク質や、反応阻害物質は?
Q3) 血液や血漿中のタンパク質濃度をBCA法で定量するには?
Q1) 分解を受けたタンパク質や変性タンパク質のBCAアッセイは?
A1) 試料中に存在する2000Da以上のペプチドであればBCA法で検出されます。
測定結果は重量濃度で算出されるため、2000Da以下に断片化されなければ一定のはずです。ただし、オリジナルのタンパク質の表面露出基と比較して、分解後に表面に露出したアミノ酸(システイン、シスチン、トリプトファン、チロシン)によっては還元力が変化する可能性があります。
変性タンパク質はランダムコイルへの構造変化やポリペプチドからサブユニットへの解離があり、ネイティブな構造と比べると分子表面に露出しているアミノ酸は異るため、吸光度の変化があるかもしれません。ただ、BCAの最適pHの11.25では、多くのタンパク質が酸性側に等電点をもつ事やCu2+のアクセスを考えると溶液中でのタンパク質の自由度は元々高いと思われるので、実際はあまり大きな影響は無いようです。
Q2)測定が難しいタンパク質や、反応阻害物質は?
A2) コラーゲンはチロシンを含まず、リジン(ヒドロキシリジン)やプロリン(ヒドロキシプロリン)の含有量が高いことが知られています。プロリンは脱プロトン化とCu2+の配位が出来ないため、他のタンパク質に比べて吸光度が極端に低くなるため測定が難しいようです。
標準物質としてはBSAやBGGよりゼラチン(変性コラーゲンで30%のプロリンを含む)を使用した方が良いかもしれません。
阻害物質の一覧は取扱説明書にも記載があります。
試料の希釈・透析か、Compet-Able(#23215)による阻害物質の除去が考えられます。DNA・RNAは1mg/mlまでBCA法を阻害しません。B-PERライセートはBCA法では希釈せずにそのまま、Micro BCA法では純水で1:10に希釈して定量可能です。
Q3) 血液や血漿中のタンパク質濃度をBCA法で定量するには?
A3) 血清の定量では赤血球や赤色ヘムの吸光波長が定量を阻害するためCompat-Ableで前処理することを推奨します。血漿の定量ではBCA法はCoomassieと違い脂質を含む試料で沈殿が生じることはありませんが、脂質やリポタンパク質を含む試料の場合、希釈試料に2%SDSを添加してからBCAアッセイを行う事を推奨しています。Compat-Ableによる沈殿は、リポタンパクが充分に沈殿せず、タンパク質の損失を招くことが予想され、血漿サンプルの前処理としてはあまり薦められません。
|